がん診療連携拠点病院の役割を担う長野市民病院(池田宇一院長)は11月から、これまで平日のみ行っていたがん相談を、毎週土曜日午前中も開始した。平日は仕事で相談できない就労世代のがん患者やその家族らの要望もあり、地域のニーズに応えるため体制を整えた。
相談は、平日と同じく土曜日も同院1階の「がん相談支援センター」で行う。がん専門看護師をはじめ、医療ソーシャルワーカー(MSW)や常勤の特定社会保険労務士によるチーム医療によって支援する。
4日にスタートした土曜日がん相談は、業務開始2日間で5組対応し、患者やその家族からは「休日に相談でき不安解消になった」「普段は単身赴任のため、休日に家族と一緒に相談できて良かった」などの意見が出ているという。がん相談を担当する看護師の高池和美氏は、「より中身を充実させ、土曜日に相談を受けられることの周知活動にも力を入れていきたい」と意気込みを語った。
さらに地域のがん教育強化を目指すがん相談支援センターは、中学生対象に出前講座を実施。7日に開いた講座では、長野市立松代中学校の全校生徒約400人に、同センター看護主任でがん看護専門看護師の横川史穂子氏が講演をした。横川氏はがん予防についてや、がん患者に対しての偏見をなくしたいとの思いで講演し、「がんになると、かわいそうな人だとか暗くなってしまうなどと思われがちだが、そうではないことを学んでほしい」と話していた。
また、同院はがん患者のための就労両立支援に力を入れており、長野産業保健総合支援センターと合同で12月2日から、月に一度の土曜日に「両立支援出張相談窓口」を開設する。同センターの両立支援促進員と同院社会保険労務士が、患者やその家族、または勤務先や事業所から業務の労働時間や休日の取り方などについて相談を受け付ける。主に患者と、患者の勤務先との間を取り持つコーディネーターの役割で、就労両立支援プランの作成など企画して周知する活動を行う。
なお、土曜日がん相談と両立支援出張相談窓口は、ともに相談無料で、同院に通院している患者以外も利用可能。事前予約が必要で、申し込みは(Tel 026-295-1292)へ。【11月27日号タイムスFaxに掲載】