信大繊維学部の橋本稔教授を中心とした研究グループは4日、産学連携で開発に取り組んできた歩行支援ロボット「クララ」の小型化・軽量化を実現したニューモデルを発表した。腰と膝の部分にモーターを組み込み、人の動きに合わせて自力歩行を補助する装着型ロボットで、患者などの利用者自身がズボンをはくような感覚で装着できる。リハビリや生活支援用として医療機関や介護施設での利用を見込み、今後は安全性などを確保した上で2019年の実用化を目指す。
橋本教授はクララの開発経緯について「介護人口が増える中、動作や生活支援にウェアラブル技術で関わりたいと考えた」と説明。2008年から研究室での開発研究に着手し、11年に産学連携での取り組みがスタート。衣服の上に装着する「スタンダードモデル」開発から1年遅れ、ロボットを衣服に埋め込んだ「パンツモデル」が16年に誕生した。人の動きを拘束しない非外骨格型構造で、体の動きに合わせてロボットがアシストする。リハビリでの用途に加え、脊髄小脳変性症などで歩行が安定しない患者の歩行支援にも効果があるとする。
今回発表したニューモデルでは小型・軽量化を実現したほか、手元のモバイルデバイスによる操作性などを改良。今後は安全性や耐久性を確保するほか、リハビリ向けと難病患者の歩行支援向けでは制御方法が異なるため「利用場面に合ったソフトウェアを開発していく」(橋本氏)という。信大発のベンチャー企業、アシストモーションを中心に19年の事業化を目指し、県内医療機関や介護施設での利用拡大を図っていく。【10月10日号タイムスFaxに掲載】