長野赤十字病院(吉岡二郎院長)はこのほど、リードレスペースメーカを使用した手術を初めて実施した。従来品と比べてリード線がないため、手術時間が半分に短縮され、セッティング時間も含めて約1時間で済む。手術を行った不整脈診療科部長の臼井達也氏は、「感染症や合併症が発生しにくく、より安全性が高まり低侵襲で有効な治療が可能になった」と話し、今後に期待を寄せている。
今月発売となったリードレスペースメーカは、メドトロニック社製で長さ2.6㎝、直径7㎜の円柱型。重さは約2gで平均10年作動する。通常は右大腿部を針で刺しワイヤーを通して上大静脈までもっていき、右心室の心尖部上部に当たる筋肉の厚い箇所に取り付ける作業で、従来よりも比較的手間が減少した。
手術は11日、90代の男性患者に実施。臼井氏は「アクセスルートがなく両側の鎖骨下静脈が閉塞しており、従来品では対応できないため、リードレスペースメーカが有効だった」と振り返る。
臼井氏によると、現在のデバイス治療患者は年間約90件。今後は、このうち1~2割の患者に適用し、同院では主に80代以上の患者を対象としていく。また、透析患者の場合、左右どちらかにシャントがあり、従来品だとペースメーカをどこに入れるかが課題になっていたが、リードレスペースメーカによって解消されるという。【9月29日号タイムスFaxに掲載】