在宅医療の中で、機能回復や援助をする訪問リハビリが活躍の場を広げている。治療を目的とする急性期から生活主体の在宅へ移行するとき、専門的なサポートが期待され、かつ在宅限界を引き上げるための取り組みも始まっている。日本一の長寿県である長野県では、どのような訪問リハビリが行われているのか密着した。
【現場ルポ】
在宅療養の利用者に寄り添い支援する
退院・退所後や在宅療養の利用者に、心身機能の維持・向上や日常生活の自立、主体性のあるその人らしい生活の再建に向け理学・作業療法などを提供する訪問リハビリ。高齢化が進展する中、介護者への指導やアドバイスも含め、在宅医療・介護を担う1つのサービスとしてその存在は欠かせない。では、訪問リハビリ職員は普段どのような仕事をしているのか。長野中央病院(長野県長野市)に入職して8年目の理学療法士・西沢未生さんの1日を追った。
梅雨も後半に差し掛かり、本格的な暑さが到来を始めた7月のとある月曜日。午前8時すぎに出勤すると、この日訪問する利用者6人のカルテに目を通し、それぞれ40分間で提供するリハビリの内容を確認した西沢さん。朝礼を終え、9時に職場を出発した。
【事例1】
技術で体格差カバー 180cm、大柄な脳梗塞の男性
9時15分からの1人目を終え、次に待つのは身長180cmの大柄な男性利用者とその妻。あいさつを早々に済ませると、まずは恒例のスキンシップから始まった。
「今日の私の腕どうですか?」。西沢さんの問いに利用者が笑顔でうなずき妻も笑う。訪問時はいつも西沢さんの前腕の感触を確かめるのが利用者の日課。これが訪問リハビリスタートの合図だ。