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医療トピックス[長野県版]

病院で活躍の場広げて 救急救命士研究会

医療タイムス 長野県版 2017.10.24 
医療ニュース
 病院に所属する救急救命士や関係者の意見交換の場として昨年発足した県救急救命士研究会は21日、相澤病院で開き、県下4病院で働く救急救命士が現状の業務や課題を報告した。研究会では消防に所属しない救急救命士が専門性を発揮できる方策を模索し、これまでほぼ搬送中のみに限られていた活躍の場を広げることを期待する。同院救命救急センター長の吉池昭一氏は「救急救命士としてどう働くか、何をすべきかを考える必要がある。特定行為以外にも社会に貢献できることがある」と話し、幅広い分野で活躍できる可能性を示唆した。
 救急救命士は、病院前医療の担い手として1991年の法整備により誕生。救急需要が増加する中、2015年4月までに約5万人が資格を取得したが、各自治体の消防職員として採用されなければ専門性を発揮することが困難な現状にある。
 県内病院では現在、長野日赤、諏訪日赤、飯田市立、相澤の各病院に計12人の救急救命士が所属。救命救急センターでの診療・看護介助や転院搬送調整、地域消防機関からの問い合わせ対応などさまざまな業務を担う。ただ、そもそも医療職がいない現場で救急救命処置を行うことを目的に設置された職種。同日、シンポジウムに参加した医師や養成校に通う学生らも、病院内での働き方については「イメージできなかった」と話す。
 講演した張替喜世一国士舘大学体育学部スポーツ医科学科准教授によると、現在有資格者のうち約35%が消防機関に所属しておらず、消防に入れない救急救命士の受け皿については公的な検討もされていない。ただ、こうした救急救命士の利活用については少しずつ検討が進み、新たな活躍の場として、地域包括ケアシステムの中での転院搬送・施設間搬送や集客施設・イベントでの活用、医療機関での活用などが考えられているほか、民間の警備会社や病院施設が採用を検討する例も増えているという。救急救命士法の縛りにより、遂行できる業務が限られ具体的な法改正の検討も進まない中、どう専門性を発揮し活躍する場を確保していくかが課題となる。「病院内では、ドクターに引継いで治療が始まれば救急救命士ができることはない。しかし特定行為以外にも救急救命士にできることは多く、自分たちでできることをやろうと考えていくことが重要」(張替氏)。
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 病院内救命士や医師らが参加したシンポジウムでは「ドクターカーを持っている病院は1つの活躍の場になる」「蘇生の現場で、全体を見てマネジメントする役割を担うことができるのではないか」などの意見があった。
 今年5月には、救急救命士の安全と自立性を担保するための課題整理に向け「病院前救護統括体制認定機構」が設立。同6月には「日本病院前救急救命学会」が一般社団法人として認可され、救急救命士の働き方に関して議論が進む。新たな活躍の場の広がりに期待が集まっている。【10月25日号タイムスFaxに掲載】
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