県看護協会(松本あつ子会長)はこのほど、「看護の手と目~地域をつなぐしなやかな看護」をテーマに松本市のキッセイ文化ホールで「第38回県看護研究学会」を開き773人が参加した。特別講演では聖路加国際大学名誉教授の井部俊子氏が「看護のアジェンダ-やさしい看護とは何か」と題し講演した。井部氏は「やさしい看護という発想は患者の認知によるもので、看護師の世界には存在しない」と強調した。
井部氏が指導する同大学院生が行った、患者が看護師のどのような行為をやさしいと認知するかの研究について解説。患者がやさしいと感じたのは、▽痛い腕をもんでもらった▽腹痛時ホットパックをすぐに持ってきてくれた▽手術前に気持ちを聞いてくれ、手術後には痛みを察し先に声掛けしてくれた-などの行為が挙げられた。また、この行為について看護師は、やさしいと感じてくれているとは思ってもみなかったと話したという。
また、最近感じている看護の課題については、①臨床ナースの質の低下②効率性と安全性の過度な追及③ケアの意思決定が「病棟の方針」や「先輩の目」に影響④看護管理者の役割の変化⑤病院看護師と訪問看護師の交流のあり方-の5つを挙げた。【10月24日号タイムスFaxに掲載】