長野市民病院(池田宇一院長)は来年2月開始を目途に院外処方せんへの血液検査値表示を予定している。6月から実施している丸の内病院(中土幸男院長)に続き、県内2例目となる。検査値に基づき患者状態を把握した上での処方監査ができ、処方監査と疑義照会の質の向上や副作用の早期発見などが見込まれる。
表示する検査値はWBCやHGB、CRP、HbA1cなど16項目。個人情報の観点から、検査値は非表示や切り取りが可能となっている。薬局からの疑義対応は、医師に直接連絡が来ると診察中の患者への対応にも影響が懸念されるため、従来どおり薬剤部が窓口となる。処方監査などへの活用の反面、検査値を参考とした処方監査のため待ち時間の延長や疑義照会件数の増加などが課題となっている。開始に先立ち同院は、県外病院への視察など着実に準備を進めてきた。
5日に開いた長野市薬と須高薬の会員を対象とした連携会には約50人の保険薬局の薬剤師が参加。同院の勝山善彦薬剤部長と臨床検査技師2人が開始までの予定や検査値の活用方法などを説明した。「検査値に馴染みがないので勉強になった」との感想があった一方で、「どのように生かしていけばよいかがまだ漠然としている」などの声もあった。今後は事例を挙げながらより実際の運用を意識した勉強会を予定している。
勝山氏は、「今までは検査値表示がなく、処方監査や副作用チェックが困難だった。薬薬連携することでそうした状況を打破し、本薬剤部だけでは対応しきれない部分も保険薬局と協力してより患者への処方・指導が有意義になれば良い」と期待を寄せている。【10月19日号タイムスFaxに掲載】