がん診療の機能向上や健診センター拡充のための北棟増築工事を2016年10月から進めてきた伊那中央病院(川合博院長)は5日、竣工式を開き近隣の医療・行政関係者ら約70人が出席した。北棟は上伊那地域で初となるPET-CTや、リニアックとSPECT-CTを最新型に入れ替え、がん診療機能を強化させた。また、新たに公立病院としては初の美容外科外来を開設。このほか、健診センターと訪問看護ステーションの拡充を図った。川合院長は竣工式で、「がんの診療機能を高めることは当院の課題だった。地域の皆さまに信頼され、選ばれる病院になるよう邁進したい」とあいさつした。
北棟は鉄骨造り2階建てで、延べ床面積約4346㎡。1階はリニアック、PET-CT、SPECT-CT室、健診センターの健診検査と内視鏡室、訪問看護ステーションが入る。2階には美容外科、健診センターのドック待合、診察室、採血室のほか、臨床工学室、展望レストラン、講堂などを置いた。
入れ替えたリニアックは最新型で、同機種は県内初の導入。特徴は、▽X線撮影でより正確な位置合わせができる▽複雑な形状の病巣にきれいに放射線を当てられる▽肺などの呼吸位相をとらえ、より病巣に近い照射ができる▽ピンポイントで多方向から放射線を当て治療期間を短縮できる定位放射線治療を行える-などの機能を備えている。
美容外科はこれまで形成外科内で診療していたが、新たな診療科として独立させ北棟に移設。高齢人口増加に伴う加齢のアンチエイジング治療などを進めていきたいとしている。
健診センターと美容外科の稼動は11月初旬で、PET-CT、SPECT-CTは11月中旬を予定。リニアックは今月中旬に搬入し機能性能試験を経て、治療開始は来年の3月下旬を見込んでいる。
事業費は、医療機器を除き約22億円を投じた。【10月12日号タイムスFaxに掲載】