日本長期急性期病床研究会(上西紀夫会長)は24日、軽井沢町で「地域包括ケア病床の検証」をテーマに研究大会を開いた。厚生労働省医務技監の鈴木康裕氏が記念講演し、2025年の医療介護需要ピークと40年以降のピークアウトに備えて病院の在り方を変えていく必要があると指摘。急性期病床を減らし亜急性期病床を増やすという国全体の方向性についても、地域の状況とは必ずしも合致しないとした上で、将来の状況変化にどう備えるかを検討するよう求めた。
鈴木氏は、今後は高齢者が増加する一方で生産年齢人口が急減すると見通し、医療介護の需要増の後に需要減が来ると説明。人口構造の変化は地域ごとに異なるものの、2040年には死亡者数が160万人に達するとの将来推計を示し、在宅医療のニーズに合わせて後方ベッドの確保・整備が必要だなどと話した。
また、各地域の将来の人口構造から必要病床の過不足を理解し、二次医療圏の中での機能分化や差別化を考えていかなければならないとした。
■DPCデータ提出が次期改定の評価に
研究会ではこのほか、大会長の小山信彌東邦大医学部特任教授が「DPCデータ提出の意味するもの」と題して講演した。小山氏は、2003年にDPCが導入された背景には小泉政権の医療費抑制策や医療費の高騰があると説明。従来の出来高制度の欠点を補い、過剰診療抑制により医療費の効率的使用を目指すものだと私見を展開した。
患者の臨床情報と診療行為情報がセットになったDPCデータについては、活用することで診療内容の透明化や病院機能の分化につながるほか、診療実績が次期改定の原資となると指摘。「すべての医療行為は透明化され、医療行為の実績に基づいて評価される。良識ある最適な医療提供が評価されれば、より快適な医療環境を作ることができる」としてデータ提出の意義を強調した。
制度導入後、DPC対象病院は段階的に拡大し、2016年4月1日時点では1667病院約49万床。全一般病床の約55%を占めている。【9月26日号タイムスFaxに掲載】