県は18日、松本市中央公民館(Mウイング)で地域災害医療コーディネーター向けの研修会を開いた。災害時の混乱した中で、速やかに的確な災害医療コーディネートを行うための知識を習得し、災害医療体制をより迅速に整えていくことが目的。同様の研修会は県内で初めてで、県内の医師ら24人が受講、42人が聴講し計66人が参加した。
研修では、受講者が長野、松本地域など4つのグループに分かれて、地図を見ながら想定被害の下で災害医療に必要な情報や意見を出し合った。地域の災害拠点病院を確認し、主要病院やヘリポート設置病院を調べ、広域防災拠点などの場所を探しホワイトボードにまとめた情報をメンバーで共有。災害によって道路や陸橋が遮断されたと想定した場合、迂回路を探して別ルートの提案を行い、物資の搬送などについても考えた。話し合いの途中には、全聴講者も参加する場面があり、意見を出すなどより実践に近い状況で取り組んだ。
参加者からは「地域によっては、対策が決まっていないところが明確になった」「災害医療体制を整えるためのいいきっかけになった」などの意見があった。
今回の研修で講師を務めた災害医療ACT研究所理事長の森野一真氏(山形県立中央病院勤務)は、「医師の立場からどんなことをして、どの状態でやらなければならないのかを考える。被災者であり、支援者でもあるので覚悟をもって臨んでほしい」と強調した。また、目的を見失わないためには「定期的に会議を開き、全員で確認する必要がある」と普段から情報交換が重要と説明した。
県は、今後も年一回は実施していきたいとしている。【9月22日号タイムスFaxに掲載】