安曇野赤十字病院(中野武院長)は、約13年間使用したX線血管撮影装置に代えて、15日から新機種を稼働させる。放射線科部技師長の茅野充治氏によると、新機種の同装置は県内で初導入。従来と比べ被ばく線量の大幅低減が期待できることや、3Dマッピングにより撮影した画像とリアルタイム画像を重ねて見ることができ、全方向から確認しながらの治療が可能になったという。
新機種は、シーメンス社製の「Artis zee FA PURE」。導入費用は約1億円投じた。同院では主に、循環器内科と脳神経外科で使用する。茅野氏によると、画像が見やすくなったことにより血管の正確な位置が分かることや、手術時間の短縮が期待できる。さらに、CTやMRIなどを含めて患者の被ばく線量を測定できるシステムを新装置導入に合わせて稼働させ、患者への全ての被ばく線量の管理が可能で、より患者にとって安心・安全だという。
同装置の使用方法を確認した循環器内科部長の内川慎一郎氏は、「低線量で解像度が高いことで、患者への負担が少なくて済み、画像もよく見えるようになった。さまざまな疾患に対する治療の幅が広がることを期待する」と抱負を語った。
なお、同装置は約8年前まで検査と治療をセットで行っていたが、現在はCTやMRIで検査後の血管内治療がメーンとなり年間230~250症例を数える。同院は今後、治療の範囲拡大でさらなる件数増加にも期待を寄せる。
同院は、高性能機器の導入でさらに病診連携を強化していく。また、5日付で地域医療支援病院に指定されたことから、中野院長は「地域の医療機関や診療所との連携をさらに深めて、より一層努力をして地域の期待に応えていく」と話している。【9月15日号タイムスFaxに掲載】