松本市保健所設置検討有識者会議(木藤伸夫委員長=松本大大学院教授)は20日、松本市役所で保健所設置の在り方に関する第2回会合を開き、市側が単独で設置する保健所の考え方について説明した。「健康寿命延伸都市・松本」を標榜し、2020年中核市移行に向け独自の施策推進を図りたい松本市にとって、保健所設置は健康福祉分野の専門性の加速に重要な意味を持つ。一方、専門性の高い保健所業務を市が単独で担うことについて、委員からは「検査業務の質の維持だけでも並なことではない」など慎重な声が多かった。
市は保健所設置の骨子案について重視する事項として、①保健所の専門性を加えることで、実効性の高い健康福祉施策の実現を念頭に設置②ワンストップサービスをはじめとした市民サービスや地域医療の質向上③サービス低下につながらないための県(松本保健福祉事務所)や関係団体との連携-などを挙げ、「市民に最も身近な基礎自治体ができるだけ多くの権限を持ち、その窓口でワンストップサービスを受けられることは市民にとって望ましい」とし、単独設置のメリットを強調した。
人材確保などの課題については、1999年長野市保健所設置例などを用い、初めの数年は県からの職員派遣で対応し、徐々に体制を整えていったことなどを説明。県健康福祉部も「必要な支援はする」と述べた。
一方、委員からは「テロによる毒物汚染や広域の食中毒など極端な例に対応できるのか」など危機管理面だけでもハードルは高く、「専門的な諸検査を担う機関であるとの意識や、やるからには他機関からも依頼されるような得意分野を持つことが重要」などの指摘があった。また、これまで培ってきた3市5村による業務への影響なども併せ、「県からの受託や共同による設置方法も引き続き検討してほしい」との要望が出た。【8月22日号タイムスFaxに掲載】