県医師会が主催する学校心臓検診研究会は5日、長野市内で開き、同会心臓検診検討委員の今井寿郎氏が、2016年度の県公立小中学校の心臓検診について、要精検率が市町村によってばらつきがあると指摘。各学校では精検の結果内容を校医と養護教諭で検討し、できるだけ再判読委員会に確認して精検の要否を再検討してほしいと訴えた。全体の要精検率は3%前後で良好な数値だとした。
報告は、県内の公立小学校363校と公立中学校184校の小学1年生、4年生、中学1年生に実施した心臓検診結果の集計による。
一次検診の心電図判定では、A判定「2次以降の検診に抽出すべき所見」は小1で242人(1.6%)、小4で326人(1.8%)、中1で460人(2.4%)と学年が上がるにつれて増加し、B判定はほぼどの学年でも同数だった。要2次精検は小1で513人(3.0%)、小4で486人(2.6%)、中1で667人(3.6%)だった。
今井氏は、「総括してみると要精検率は3%前後で良好な数値」とした上で、市町村別にみると0~50%まで幅があると指摘。「10%を超える要精検率は高すぎる」として、養護教諭と校医で結果を再検討し無駄な精検を減らすよう求めた。
また、心臓検診要管理者の診断名が「異常なし」や「正常範囲内」「不明」など、経過観察の必要性が分かりにくい例があるとして、精密医療機関は早期に診断を確定して保護者や学校に正確に伝えるよう訴えた。
研究会には医師や養護教諭ら約50人が参加。研究発表4題に続き、北里大医学部小児科の石井正浩教授が「川崎病遠隔期の諸問題」と題して講演した。【8月9日号タイムスFaxに掲載】