長野市薬剤師会(原澄会長)は24日、在宅医療スキルアップ研修会を開き、約50人の会員らが出席した。会員への事前アンケートを基に、「処方せんでわかるがん治療」をテーマにして愛和病院薬剤部の萬谷摩美子氏と長野赤十字病院薬剤部の田幸稔氏が講演した。
萬谷氏は、「癌」と「がん」の違いについて、「上皮性細胞から発生したものが固形癌で、非上皮性細胞から発生したものが肉腫。がんは固形癌や肉腫、血液がんなどを総称したもの」と説明。薬物療法が関与する分野が多い乳がんを例にとり、診断から治療までの流れを解説し、代表的治療薬としてホルモン療法ではTAMやフルベストラント、MPAを、化学療法ではアンスラサイクリン系やタキサン系などを挙げた。また、「がんと診断された患者には不安や落ち込みがある。怒りやすくなるのはそこから来る感情表出なので、寄り添って患者のニーズに応えられるように手を差し伸べることが重要」と述べた。
田幸氏は、抗がん剤の副作用を回避するための支持療法を解説。抗がん剤による悪心・嘔吐のメカニズムは、セロトニンやサブスタンスPが脳や消化管に影響を与えるためと述べた。それぞれの出現パターンについては、セロトニンは急性なので吐き気を抑えるために1日目に拮抗剤を入れ、サブスタンスPは遅発性で抑制にはステロイドやイメンドを使用すると説明した。薬物の理解については、「学習する1番の方法は患者なので、患者の問題を分析して解決方法を模索することが重要」と話した。
「ガイドラインなどはすぐに新しくなってしまうが、どのように確認すればよいか」との質問に萬谷氏は、「手放せないのはレジデントマニュアルだと思うので、うまく活用してほしい」と答えた。【7月31日号タイムスFaxに掲載】