第74回県農村医学会総会(吉岡二郎学会長=長野赤十字病院長)が8日、「地域医療構想から考える機能分担と連携」をテーマに同院で開かれた。特別講演では、慈泉会理事長・相澤病院最高経営責任者の相澤孝夫氏が「これからの時代を見据えた病院の在り方」と題して講演。少子高齢化の中で、今後どのようにして地域医療を支えていくかを解説した。
相澤氏は、「地域の事情を把握しない限りはどんな医療が必要かは分からない」と話し、財政的な問題や人員不足が課題であると指摘。高齢者が増え、若者の働き手が減る一方、「各地域によってどのような人口構図の変化が起きているかを把握することが重要」と強調した。
高齢者の医療や介護について「健康問題だけではなく、それ以上に生活問題にもしっかり取り組み、従来の急性期医療とは異なる対応が必要」と呼び掛けた。さらに、最初の治療は医師がチームリーダーを担うが、患者が落ち着いてきたその後の対応については、「看護師など職員の役割を明確にし、チーム医療を機能させるためにリーダーの受け渡しすることが重要」と語った。
学会には、42の一般演題、31のポスター演題が集まり約400人が参加した。ランチョンセミナーでは、信大医学部内科学第五教室(循環器内科)教授で信大病院胸痛センター長の桑原宏一郎氏が「超高齢化社会における心不全診療の現状と課題」、宮坂医院(諏訪市)理事長の宮坂圭一氏が「地域医療の看取り」と題してそれぞれ講演した。【7月12日号タイムスFaxに掲載】