第11回日本慢性看護学会学術集会(松下由美子会長=佐久大学看護学研究科・看護学部・成人看護学教授)は1、2の両日、佐久大学(佐久市岩村田)で開き全国の看護師、看護教育関係者ら約520人が参加した。複数の慢性病を持ちながら地域で生活する人を支える慢性看護のあり方について理解を深めるのが目的。県内では初の開催で、テーマは「慢性病とともに地域で生きる」。松下会長は会長講演で、「慢性看護師は刻々と変化する保健医療福祉情勢をとらえ、慢性病と共に地域で生きる人々のために自ら役割開発に取り組んでいく必要性がある」と強調した。
松下氏は高齢化の進行に伴い、国の向かう医療の方向性において一層慢性看護が求められる時代になるとし、人材育成や確保の重要性を訴えた。
方向性として医師、多職種間でのタスクシフティング(業務の移管)が推奨されていると前置きし、「これまで看護師たちが担ってきた仕事をほかの医療職が担う時代が近い将来訪れるのではないか」と危機感を示唆した。
このほかICT(情報通信技術)の活用により地理的な不利益をカバーする仕組みを整えることが急務だと指摘。ICTを活用することで健康・医療・介護情報が共有され、専門医がいない患者や孤立しがちな高齢者も専門医療や生活支援が受けられると述べた。またかかりつけ医と連携しながら切れ間ない診療やケアが可能となり、慢性病者にとって有益だと話した。【7月7日号タイムスFaxに掲載】