県立病院機構(久保惠司理事長)が6月30日に発表した2016年度決算によると、機構全体で経常損益は約2億6000万円の赤字となり、前年度を約3億円下回った。須坂病院での分娩受け入れ休止などが影響し、本業の医業収益は前年度比約1億4000万円減の167億円。2期連続で黒字を計上した昨年から再び赤字となった。
医業収益を含めた全体の経営収益は230億9451万2000円(前年度比1億2746万円減)。一方経常費用は、233億5831万1000円(同1億7291万3000円増)だった。結果、経常損益は前年度から3億37万3000円減少の2億6379万9000円の赤字を経常。患者数減少により利益が大幅に減少した。
■阿南、眼科医常勤化で利益増 須坂、こどもも黒字維持
各病院の経常損益をみると、黒字を計上したのが須坂714万8000円、阿南1億6008万6000円、こども638万2000円。赤字は駒ケ根4110万6000円、木曽3859万円。
診療機能の強化や内視鏡検査の積極的な実施などで昨年黒字に転換した須坂は、引き続き黒字を維持したものの8月からの分娩受け入れ休止が影響し、利益額を大幅に縮小。こどもは入院・外来ともに診療単価が上がり、9年連続で黒字を維持したが、神経小児科や産科で入院患者数が減少し、利益幅は減少した。阿南は眼科医の常勤化により週5日の外来予約診療を実施。慢性疾患患者の来院頻度低下により外来患者が減ったものの入院が増え、大幅な利益増となった。
駒ケ根は、信大との連携大学院教育を進めるなど、専門性向上に取り組んだが、入院・デイケアともに患者数が減少し、赤字を計上。木曽は肝炎の高額治療薬使用患者の減や在院日数増加により入院・外来ともに診療単価が下がり、循環器内科医の不在による患者数減も影響した。【7月3日号タイムスFaxに掲載】