松本薬剤師会は13日、第61回定時総会を開き、2016年度の事業報告や収支決算など3議案を審議し、原案どおり承認した。任期満了に伴う役員改選では、加賀美秀樹会長(松本市、加賀美薬局)を再選。加賀美会長はあいさつで、地域包括ケアシステムの構築が進められていることに触れ、「全職域の薬剤師が多職種と連携し、高度化する医療全体に対応するために各種研修会などを充実させて資質の向上に努めていく」と抱負を述べた。
かかりつけ薬剤師・薬局機能の充実については、「地域住民の健康維持・増進のために健康サポート薬局の普及に尽力する」と強調。「会の組織強化を図って、関係団体との連携のもと、住民の健康な生活の確保、向上に寄与するよう取り組む」と締めくくり、引き続き会員の協力を求めた。
総会後には生涯教育講座を行い、信大病院脳血管内治療センター長の小山淳一氏が「脳血管内治療はステントの時代」と題して講演。会員ら88人が聴講した。小山氏は画像や動画を交えながら最新のステント治療について説明。心原性脳塞栓症に対しては、t-PA治療(血栓溶解療法)が有効だとし、発症後からt-PA投与までの時間と効果についてのグラフを用いて「発症から4時間半以内の投与が重要。それを超えてしまうと出血など有害な事態が起こる」と解説した。t-PAでも溶けないような大きな血栓の場合にはカテーテル用いるが、基本はt-PA投与はスキップせずに投与後にカテーテル治療をすると捕捉した。
参加者からの「エコーなどで頸動脈の狭窄などが見つかることがあるが、どのタイミングで専門医での治療をすべきか」の質問には、「心臓の分野ではLDLを下げる(脂質異常症の改善)ことで狭窄が良くなるとのデータがあるので、頸動脈も同様だと思う」とし、早期での紹介と治療の重要性を説いた。
会長以外の役員は次の通り(敬称略)。任期は同日から2年後の定時総会まで。
▽副会長 小松稔、横林健二、田多井健介▽専務理事 本保武俊▽常務理事 杉澤哲、大輪武司、一志和幸、吉田宗生、吉澤貴代美▽理事 荻無里千史、神田博仁、星河淑美、宮澤智絵、淺野未代子、大塚修一、有井太郎▽監事 日野寛明、佐藤祐一【6月19日号タイムスFaxに掲載】