北信地域の感染症対策に関する情報共有と施設間連携を目指す北信ICT連絡協議会(代表理事=山﨑善隆須坂病院院長補佐・感染症疾患センター長)は27日、飯山市で合同カンファレンスを開いた。2020年までに抗菌薬使用量を全体で33%減少させるとした厚生労働省の数値目標について山﨑氏は「病院だけでなくクリニックを含めて取り組む必要がある。地域に向けて発信していかなければ達成できない」と強調。高齢者の肺炎球菌ワクチン推奨など須坂病院の事例を発表し、地域全体での取り組みを呼び掛けた。
山﨑氏は、肺炎死亡者に占める65歳以上の割合が近年増加し、患者増によって呼吸器内科や内科系医師の入院診療が圧迫されていると説明。須坂病院では予防のために肺炎球菌ワクチン接種を推奨しているが、医師のリーダーシップや他科への波及により、接種の拡大を図っていく必要があるとした。
協議会は、須坂、篠ノ井総合、松代、長野日赤、長野市民、長野中央、北信総合、飯山日赤の8病院が中心になり6年前に発足。医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師の4職に加え、介護施設関係者らも参加して北信地域の感染症制御に向けて活動している。
■須坂病院に感染症疾患センター
県内の感染症治療では、須坂病院に感染症疾患センターを設置することが決まっている。進行中の新棟建設に伴う病院機能強化の一環で、結核病棟や第一種、二種感染症病棟を備え、エイズ拠点病院として10月の開設を予定する。
治療、教育、研究の3本の柱で県内の感染症治療を牽引し、抗菌薬適正使用に関する研究や遺伝子解析のほか、感染症専門医や薬剤師、看護師の教育を担う。【5月30日号タイムスFaxに掲載】