信大子どものこころ診療部は13日、同大で発達障害支援をテーマにしたシンポジウムを開いた。医療、福祉、教育関係者ら約150人が参加し、学校卒業後に支援の空白期間が生じることや、診断されていない人の中にも支援が必要なケースがあることなどいくつかの課題を確認。支援のあり方や診断の必要性について理解を深めた。
シンポジウムでは、県の「松本圏域発達障がいサポート・マネージャー」を務める新保文彦氏、飯綱町などで発達障害者支援を行うNPO法人「SUN」の藤村出氏、信大教育学部教授の高橋知音氏が発達障害者支援の課題や地域の実情について話した。
高橋氏のまとめによると、発達障害が報告されている全国の大学生のうち、学習障害(LD)は4.1%。注意欠如多動性障害(ADHD)が19.5%、自閉症スペクトラム(ASD)が63.5%。自閉症や注意欠陥多動性障害は近年啓発が進んでいる一方で「学習障害はあまりに見過ごされている」と指摘した。その上で、読字・書字の困難は、音声教材などの支援技術により対応が可能だと説明し、受験などで配慮を受けるために医師の診断が必要と話した。
新保氏は、組織やシステムの壁により、学校を卒業後に支援の空白期間が生じることを問題視。「(学校や医療、福祉などの)それぞれの組織がもう少し手を伸ばせば空白期間が減ってくる」と話した。藤村氏は、発達障害に対する適切な対応をされずに二次障害を引き起こす子どもが多いと説明。支援が必要な人をすくい上げ、空白が生じないよう保護者や学校、福祉が適切に支援していく難しさを指摘した。
同診療部のセミナーは医療、福祉関係者や一般を対象に年2回開催している。【5月16日号タイムスFaxに掲載】