日本看護協会(坂本すが会長)は、健診やレセプトデータを活用して健康長寿を目指し市町村の保健活動の在り方を探る事業「データを活用した保健活動の強化パイロットスタディ」報告書をこのほどまとめた。健診などのデータから地域の健康課題を読み解き、2015年度から2年間実施した保健師の活動内容や成果を事例として収載。全国に普及、啓発していくことが目的。
事例は木曽郡王滝村を含む全国5カ所の自治体が参加した。同会は事務局と保健事業の有識者をスーパーバイザーとして各自治体の会合などに参加させ、▽データ分析の視点や分析結果の解釈や活用方法の助言▽計画に基づく事業展開への助言▽活動への承認、励まし-など5項目を支援した。
報告書によると、王滝村は保健師が1人のため事業を展開するにはマンパワーに限界があったが、日看協が庁内外関係者と連携を図ることを助言したことで、保健師の美濃羽冴子氏が中心となり、村の生活や健康課題に応じたデータヘルス計画の策定ができたという。
現地での支援は、村民一人ひとりや世帯のデータを確認し、重複している疾病などはないか読み解き確認した。データ分析については、県国民健康保険団体連合会からデータ集計・分析結果の提供を受けることや、保健所にも協力を求めることを助言した。
王滝村保健師の美濃羽氏は、日看協から、「全部1人でやろうとせず、全体を見てプロデュースする」と助言をもらい、地域健康課題に向け、「健診しやすい環境づくりのために地域組織の健康推進員の協力を得るなど、仕事の進め方を学んだ」と話し、事業に参加したことについて、「多くの支援に心から感謝したい。どこにいても保健師の活動の原点は一緒であり、保健師として自信がついた」と語った。
同事業は厚生労働省先駆的保健活動交流推進事業として15年度から2年継続実施し、15年度の経過報告書は昨年3月に作成した。【4月28日号タイムスFaxに掲載】