県立こども病院(原田順和院長)は28日、最終的な療養場所として病院で過ごすことを選んだ患者が、緩和ケアを受けながら自宅と同じように家族と過ごせる「ファミリールーム」の開設式を行った。原田院長は「以前から要望のあった“家族みんなで過ごせる場所”が、同病院寄付プログラムを通じた県民の支援により提供できることに感謝している。小児医療の一つの前進と考える」とあいさつした。同ルームは県内初で、4月1日から使用できる。
南棟第1病棟に開設するファミリールームは約40㎡の広さで、浴室、洗面所、トイレのほか、キッチンや収納スペースを備えた家庭に近い環境。簡易ベッドの追加で、家族4人程度まで寝泊りできる。病棟では安全な治療を保持するため、15歳未満の兄弟は出入りできないが、同ルームは例外となる。
同病院によると、2013年4月以降、完治が不可能と判断された患者や家族は、終末期の過ごし方について、約半数が在宅療養を希望した一方、残る半数は同病院での療養を希望したという。一般病室では家庭のような環境づくりが難しいため、療養設備を整え家族全員が快適に過ごせる病室1室を新設した。どの診療科の患者も使用でき、終末期に限らず、在宅療養の患者が輸血などのために短期で入院する場合など、幅広い用途も検討しているという。
工事費約4622万円は、全額寄付金。【3月30日号タイムスFaxに掲載】