県精神保健福祉センター(小泉典章所長)は15日、長野市内で薬物依存問題研修会を開き、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部長の松本俊彦氏が「薬物依存症の治療と回復」をテーマに講演し、「薬物依存から回復させるには檻の中に閉じ込めるのでなく、地域の中で支え合うことが重要で、薬物依存から回復し易い地域にすることが必要」と強調した。同研修会は、薬物依存症に関する正しい知識と対応や、昨年6月から開始した薬物事犯などの刑の一部執行猶予制度について学ぶことが目的で、薬物依存症者の支援者や依存問題に関心のある一般者ら約100人が参加した。
松本氏は依存症の本質について、快感でなく苦痛から逃れることだとし、やめ続けるには薬に代わる安全で健康的な支えが重要と話した。刑の一部執行猶予制度をきっかけにしてどのように地域で支えていくか考える必要があり、薬物依存症者が逮捕時に言う「ありがとう」は決して軽いものでなく、これでやっとやめられるというそれまで苦しんでいたことを示す重い言葉だと分かってほしいと訴えた…【3月17日号タイムスFaxに掲載】