佐久医師会や佐久市などでつくる医療介護連携推進協議会(金澤秀典会長)は10日、市内で「老人ホームにおける終末期対応に関するガイドライン」説明会を開いた。施設入所の高齢者が急変または心肺停止した際、死亡しているにもかかわらず救急車を呼ぶ事例が多発し、救急医療に大きく支障をきたしたため2014年、佐久医師会が救急診療体制の維持を目的に同ガイドラインを作成。心肺蘇生術や救急車の要請について本人や家族に事前確認しておくことを定め、翌年施設関係者らへの説明会とともに運用を開始した。再度の説明希望者が多かったことから、2度目の説明会を行った。
ガイドラインでは終末期の対応について、「(心停止時に心肺蘇生術を)行う、行わない」「施設で看取る、入院を希望する」などの意向について、事前の話し合いを文書に残し、定期的に見直し、適宜修正する-などとしている。
同会が16年に実施したアンケートでは、看取りがあった19施設のうち、ガイドラインに沿って対応した施設は42%にあたる8施設にとどまっている。特別養護老人ホームシルバーランドみついでは、施設での看取りを希望した入所者に、好きな曲をかけたりアロマをたくなどして看取りを行っていることを報告した。
金澤会長は、同地域の年間救急出動件数1万件強のうち280件が心配停止例で、このうち約80%が高齢者だった現状にも触れ、「いわゆる死体搬送になっている。本ガイドラインが周知徹底すれば救急車の要請は減少するはず」と話した。また、施設入所者も訪問診療や死亡確認するかかりつけ医を持つことや、急変時対応を行う訪問看護ステーションとの契約が欠かせないことを強調した…【3月14日号タイムスFaxに掲載】