県薬剤師会(日野寛明会長)が昨年11月と12月に実施した「薬剤師おためし訪問」事業で、薬剤師の訪問後、服薬や残薬状況の改善に一定の成果があったとする中間報告の一部がこのほど明らかになった。かかりつけ薬局・薬剤師の役割が期待される中、在宅での療養に薬剤師が関わることの有用性が改めて浮き彫りになった。
同事業は「患者のための薬局ビジョン推進事業」として県が委託したもので、地域薬局がケアマネジャーなど他職種との連携を深め、在宅医療サービスにつなげる試み。2カ月間の事業を通じ、「200件を超える訪問が発生した」(髙田弘子県薬介護保険担当常務理事)という。
他職種からの評価の一部をまとめた中間報告によると、服薬状況は、薬剤師の訪問前「ほぼ良好」が22.7%だったのに対し、訪問後は「良好」「ほぼ良好」を合わせ81.8%に改善。薬の管理状況も「ほぼ良好」が27.3%から、「良好」「ほぼ良好」合わせて77.3%になった。
訪問前は「良好」がわずか4.5%、「ほぼ良好」が22.7%だった残薬状況も「良好」52.4%、「ほぼ良好」28.6%まで改善した。
また、薬剤師との連携が「有用だった」「やや有用だった」と答えた他職種は90.9%に達し、「一包化により服薬状況が確認しやすくなった」「患者が服薬にたいして能動的になった」などの意見があった。
訪問した薬剤師からは「広報不足で事業を知らない他職種が多かった」「在宅医療における薬剤師の役割はまだまだ他職種には認知されていないと感じた」などの意見があり、今後は薬剤師の業務に関するPRなども課題になりそうだ。
具体的な実施状況や事業全体の評価は集計中で、近くまとまる見通し。【2月20日号タイムスFaxに掲載】